2024年08月01日
美術ミステリーを読んだ
「松本清張 ジャンル別作品集 3 美術ミステリー」を読み終わりました。
そのまんま文字通り、松本清張の美術関連の作品を集めたアンソロジー。
画家や作品による話というより、画商や鑑定家や模写、そして贋作など美術にまつわる人たちの人間模様を描いています。
でもさすが松本清張氏。ものすごい勉強量なんでしょうね。
社会派推理小説の大家でありながら、美術や美術関連について詳細に調べているのがわかります(私は無知なのでたぶんそうなんだろうという感覚だけですが)。
あとがきを読むと、清張さんは新聞記者時代、今でいうグラフィックデザイナー的な仕事もこなされていて、イラストレーターとしてもかなりの技量と知識があったようで、それだけに画家自身の心理も心得ていたようです。
そこから浮き彫りにされる人の欲や情熱が生み出す人間模様に焦点を当てています。
必ずしも殺人事件というわけではないところが、ある意味怖いかも。